世界遺産となった日本の和紙技術とは

紙幣の耐水実験に興味津々のトム君
紙幣の耐水実験に興味津々のトム君

 日本の手漉き和紙技術が2014年11月27日ユネスコの無形文化遺産に登録されました。古代中国で発明された紙の技術は日本でどう進化したのでしょうか。

 渡来直後の製紙法は、細かくした繊維を水に分散させ、この紙料液を入れたすき枠を静置して水を濾過し、濾面の繊維層を紙にする「溜め漉き法」でした。しかし、この方法は繊維の分布を均一にすることが難しく、紙は厚くてふぞろいになりました。

 日本の技術者は、粘性の繊維を混ぜて漉けば上質の紙が得られることに注目して実験をかさね、植物の粘液(ネリ)を混ぜて紙料液をつくり、これを濾面に流して繊維を均一に積層させ、余った液は紙料槽にもどす新しい漉き方「流し漉き法」を開発しました。薄くて上質の紙が得られ、生産性も高いこの技術は日本各地に広まり、地域や使途に応じて改良が加えられました。写真は代表的和紙製品である日本の紙幣を水に浸漬して耐水性をみた一コマです。

 なお、この稿は参考(1)を中心に、紙の博物館機関誌「百万塔」149号「紙の五大発明と洋紙原料の変遷」および同誌臨時増刊号「中国古代造紙技術史」などを参考にまとめたものです。参考 (1)町田誠之、紙の科学、pp.33-36、講談社(昭和58)。